なんだか難しそうだし、とても怖そうな感じがする本だね。
ふふふ、これは実際に怖い本かもしれないね。
目次
ところで「サボタージュマニュアル」って何?
簡単にいうと「敵の組織をダメにするマニュアル」だよ。
そんなのここで紹介しちゃっていいの?
紹介する理由がちゃんとあるんだよ。
「えっ!こんなこともサボタージュマニュアルなの!?」
というものもあるから、参考になると思うよ。
どうすれば企業などの組織がまわらなくなったり、人々をイライラさせたりさせられるのだろうか?
さらには、事故や災害、機械の故障などをどのようにすれば起こせるかということが書かれています。
つまりは、事前に悪いことが起こると分かっていればそれらを予防することができます。
実は会議で話し合うことも、サボタージュマニュアルに載ってるんだよ。
えっ!「みんなで仲良く話し合いましょう」って教わってきたのに???
ホワイトカラー、事務員、管理職などを対象にしたサボタージュマニュアルがあります。
彼らの仕事について、どのようなものがサボタージュ可能であるか下のリストを見てください。
- 形式的な手順を過度に重視せよ
- ともかく文書で伝達して、そして文書を間違えよ
- 会議を開け
- 行動するな、徹底的に議論せよ
- コミュニケーションを阻害せよ
- 組織内にコンフリクトを作り出せ
- 士気をくじけ
この3番目に「会議を開け」どの企業や組織でも会議はしますよね。
なぜ会議がいけないかというと集団パフォーマンスが低下するからです。
集団パフォーマンスが低下する理由として次の(1)~(5)が挙げられます。
(1)社会的手抜きの発生
個人がどれだけ集団全体の作業に貢献したかが分かりづらいため手抜きが生じやすくなる。
(2)評価懸念による発言の抑制
問題解決よりも自分自身が他人からどのように評価されるのかを気にする。
「上司ににらまれたくない」、「変な事を言って無知がばれる」など。
(3)沈黙の螺旋(らせん)
評価懸念の影響で傍観する人が増える。
多数派の意見は発言しやすいが、少数派の意見は発言しにくい。
(4)同調
自分の意見は違うがとりあえず周りの意見に合わせてしまう。
(5)調整損失
会議に積極的に参加していたとしても、自分の発言するタイミングを待つ時間が圧倒的に多いのではないでしょうか?その場合の待つ時間は話している人の発言を聞いていない、さらに自分自身は何も考えていない時間になります。
さらに、4番目に「行動するな、徹底的に議論せよ」とあります。
失敗を恐れるがゆえに、徹底的に議論を重ねるということもよくあります。
会議自体にも集団パフォーマンスを低下させるリスクがあり、さらに「行動するな」と言っているので、完全に生産性はありません。失敗した場合の失敗から学ぶこともありません。
無駄な時間だけが過ぎていくイメージが浮かびます。
会議には上記のようなデメリットがあるので注意が必要です。
そして1番目の「形式的な手順を過度に重視せよ」というのも注意が必要だよ。
組織が大きくなるにつれ、形式的な手順で仕事などを進めていくことが多くなります。
本来ならば仕事を効率的にするために形式的な形にするのですが、それがかえって足を引っ張ることもあります。
報告書や申請書一枚に対して担当者や係長、課長、部長のハンコが3つも4つも必要だとか、必要以上にチェック体制が厳しい(様式が違う、改行していない、ここはスペースを入れるべき)などがいい例だと思います。
お役所の仕事などは形式的なイメージが強いです。
っというか、形式的にすることによって業務を効率化できた典型的な例だと思います。
しかし、過度に形式的にこだわると「書類を何度も作り直さないといけない」、「ハンコを何度ももらわないといけない」といったように効率が悪くなってしまいます。
うーん、よくわかんないや。
ハンコ遊び好きだけどな~。
このサボタージュマニュアルの真価は歴史的にどのように使われてきたかなどではありません。
現在、多くの組織・企業が知らず知らずのうちに当たり前に(ホワイトカラーむけの)サボタージュ戦略に当てはまる活動をしているからです。
そのため、改めて現実の組織を見直してみるきっかけとなるいい資料となります。
それ以外でも、日常生活の中でのうっかりが原因で機械を壊してしまったり、事件を起こしてしまったりすることについて考えさせられる項目もあります。
家のドアのカギ穴に木くず入れて遊んでたら、ドアが開かなくなっちゃったよ~。
それ~~~!!サボターーージュ!!!
本書の半分はサボタージュマニュアル(暫定版)が載っています。
その中の一部を紹介します。
決してマネはしてはいけないが、サボタージュマニュアルと分かっていれば、事前に事故や事件、トラブルを回避することができます。
- 2工業生産(製造)
(a)3.非常に早く動かすことによって、ヤスリの寿命を短くすることができるであろう。強い圧力をかけながら、ゆっくりとヤスリをかけることによっても同じ効果がある。順方向だけでなく、逆方向にも圧力をかけよ。 - 2工業生産(製造)
(b)5.ビットやドリルは、強い圧力をかけるとポキッと折れる。 - 3生産(金属)
(a)4.鉄鋼や鉄を鍛えるときに、熱すぎるようにせよ。そうすれば、生成されるバーとインゴットの品質が悪いものとなる。 - 4生産(鉱業と採鉱)
(a)1.デイビーランプに軽く息を吹きかけ火を消せ。そうすれば、再び火をともすために、坑内爆発性ガスがない場所を探さなければならない。その場所を探すのに十分時間をかけよ。 - 7交通(自動車) (b)乗客
1.バス運転者は、敵が降りるバス停を行きすぎてしまうことができるだろう。タクシーの運転手は、敵の目的地までできる限り長い迂回路を選択することによって、敵の時間やお金を消費させることができる。 - 7交通(自動車) (f)バッテリーと点火装置
2.停車している車のライトを点灯せよ。そうすれば、バッテリーが上がってしまうだろう。 - 9コミュニケーション (a)電話
1.オフィス、ホテル、交換台では、敵の通話をつなぐのを遅らせよ。また、間違った番号を伝えよ。「誤って」通話を切れ。あるいは、ラインが使えないように切るのを忘れよ。 - 9コミュニケーション (d)手紙
1.郵便局で勤務している者は、敵の手紙を間違った袋に入れるなどして、一日以上常に遅れるように手配せよ。 - 11組織や生産に対する一般的な妨害 (a)組織と会議
1.何事をするにも「決められた手順」を踏んでしなければならないと主張せよ。迅速な決断をするための簡略した手続きを認めるな。 - 11組織や生産に対する一般的な妨害 (a)組織と会議
2.「演説」せよ。できるだけ頻繁に、延々と話せ。長い逸話や個人的な経験を持ち出して、自分の「論点」を説明せよ。適宜「愛国心」に満ちた話を入れることをためらうな。 - 11組織や生産に対する一般的な妨害 (a)組織と会議
3.可能なところでは、「さらなる調査と検討」のためにすべての事柄を委員会に委ねろ。委員会はできるだけ大人数とせよ(けっして5人以下にしてはならない)。 - 11組織や生産に対する一般的な妨害 (a)組織と会議
5.通信、議事録、決議の細かい言い回しをめぐって議論せよ。 - 11組織や生産に対する一般的な妨害 (b)スーパーバイザー(顧問)
4.作業に利用しているものの在庫がつくまで、補充するな。そうすれば、補充されるまで少しの間が生じるので、作業が中断することになるであろう。 - 11組織や生産に対する一般的な妨害 (b)スーパーバイザー(顧問)
10.士気を下げるために、非効率的な作業員に心地よくし、不相応な昇進をさせよ。効率的な作業員を冷遇し、その仕事に対して不条理な文句をつけろ。 - 11組織や生産に対する一般的な妨害 (b)事務員
5.上司は今忙しい、あるいは別の電話に出ていると、重要な相手に伝えよ。 - 11組織や生産に対する一般的な妨害 (b)事務員
6.手紙を次の集配の時まで遅らせよ。 - 11組織や生産に対する一般的な妨害 (b)従業員
6.新しい、あるいは未熟な作業員に自分の技術や経験をけっして伝えるな。 - 12士気を下げ、混乱を引き起こすための一般的な工夫
(a)質問を受けたときは、長ったらしい、理解しがたい説明を提示せよ。 - 12士気を下げ、混乱を引き起こすための一般的な工夫
(c)とぼけよ。 - 12士気を下げ、混乱を引き起こすための一般的な工夫
(d)自分が面倒なことに巻き込まれない程度に、できる限り怒りっぽく、言い争え。 - 12士気を下げ、混乱を引き起こすための一般的な工夫
(k)廃物回収には協力するな。
ブルーカラーのサボタージュマニュアルから始まり後半はホワイトカラーのサボタージュマニュアルとなっています。
ここで紹介するのはごく一部のみですが、ホワイトカラー向けのものを多く掲載しました。
理由は現代でもいろいろな組織で、無意識のうちにホワイトカラー向けのサボタージュマニュアルを使ってしまっているということです。
僕がこの本を紹介するのは、サボタージュマニュアルを悪用するのではなく、どうすれば効率の良い組織運営ができるか、事故やトラブルを未然に防ぐかを学んでほしいからです。
今まで当たり前に行っていたことが実はサボタージュだったということもあります。
「その残業必要ですか?」
「その報告書必要ですか?」
「会議多くないですか?」
「若手にちゃんと仕事を教えていますか?、目で見て盗めでいいのですか?」
今一度当たり前を疑ってみると、意外なところに問題解決の糸があったりします。
興味がありましたら、ぜひ本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。
会議の効率化、職員研修、時間のムダ遣いをしていないか、
作業現場の安全管理はできているかなど。
サボタージュマニュアルを知るといろいろと見えてくるものがあります。