六人の嘘つきな大学生（2022年本屋大賞ノミネート）

六人の嘘つきな大学生

著者｜浅倉秋成
出版｜KADOKAWA
ジャンル｜小説　ミステリー

オススメしたい人
≫ ミステリーが好き
≫ 一風変わったミステリーを読んでみたい

あらすじ

成長著しいＩＴ企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。

最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一ヶ月の間にチームを作り上げ、そのチームでのグループディスカッションをするというもの。

言うなれば『チームディスカッション』

ディスカッションの内容によっては、全員の内定もありうると言うので、六人は最高のチームを作り上げるべく最終選考の準備に取り掛かる。

「全員でスピラの同期になりましょう」

フリーの会議室を借り、資料を持ち寄り、議論し合う。
そして、一緒に飲みに行ったりと仲間意識も高まっていく。

しかし、そんな矢先･･･
スピラリンクスからある連絡が届く。

その内容に、皆が絶句する。
それはこの六人にとってはあまりにも受け入れ難い内容だった。

そして迎える、最終選考チームディスカッション当日。

ディスカッションはスピラリンクスの会議室に就活生の六人だけで行い、その様子を人事担当者が別室でモニターするという形式。

ディスカッションも始まって少しした時、会議室の扉付近に置いてあった封筒に全員の目がいく。
ディスカッションに必要な書類と思い、中身を取り出してみるが･･･

そこに書かれていたものに、一同が騒然とする。
そして、ディスカッションは思わぬ方向へ。

一つのチームとして纏まっていたかに見えたが、その封筒の登場により、全員が疑心暗鬼に囚われてしまう。

封筒の中身とはいったい･･･

ディスカッションの行方は･･･

そして、封筒を用意したのは誰なのか･･･

ここがオススメ

■ インタビュー

ある人物が、スピラリンクス最終選考ついて、当日のことを当事者たちにインタビューして周ります。

このインタビュアーは誰なのか、何の目的でインタビューしているのか、そして、このインタビューの目的とは？
このインタビューによって徐々に明らかになっていく。

･･･人の表と裏。

■ 「犯人」に踊らされる

ミステリーでよく犯人に踊らされることはありますが、この作品では「犯人」という“言葉自体”に踊らされることになります。

ここで言う犯人とはもちろん“封筒”を用意した人物。

読み進めるたびに、話やイメージがガラリと180度変わり、更に読み進めるとまた180度変わり、とにかく、終始ぐるぐる回ります。

でも、最後は一つの真相に収束していく･･･

著者のこの物語の作りが秀逸です。

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