火花(第153回 芥川龍之介賞受賞)

火花

著者|又吉直樹
出版|文春文庫
ジャンル|小説 ヒューマンドラマ

オススメしたい人
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あらすじ

花火大会の余興で漫才をすることになった売れない芸人の徳永。

徳永たちの出番の前、老人会の出し物が大幅に時間を超えてしまったために、花火の打ち上げが始まってからの漫才となってしまった。

結果はご想像の通り、散々。

余興の最後に漫才をすることになっていたコンビの一人が、徳永とすれ違う時に「仇とったるわ」と憤怒の表情でステージへ出ていった。

・・・案の定、彼らは徳永たちよりも遥かに大きな失態を晒していた。

しかし徳永には彼らの漫才に惹かれるものがあった。
そして声をかけてくれた、この人こそが真実なのだとわかった。

その人が『神谷さん』だった。


余興の仕事も終わり、ギャラをもらった神谷さんに誘われ、二人で呑みに出た。
この時、どのような話の流れでそうなったか・・・

「弟子にして下さい」

徳永は頭を下げていた。

「いいよ」

簡単に受け入れてくれた。
ただ神谷さんの伝記を作ることが条件だった。

徳永は神谷さんの弟子になった。
なんとも危うい師弟関係が結ばれた。


この師匠と弟子が向かう先には何があるのか・・・

ここがオススメ

■ お笑い芸人の世界

お笑い芸人ということもあって、交わされる会話も独特なところがあります。
普通の会話ではなく、笑いを意識した会話になっているので、普通の小説を読む感覚で読み始めると若干理解が追いつかないところがあります。
でもかえって、これがお笑いの世界なのかなと思えて、この世界感をただひたすら楽しむことが出来ます。


そして、お笑い芸人の新たな一面を発見することができます。
単純にネタを考えて漫才の練習をして・・・というイメージがありますがそれが覆ります。

お笑いにも哲学があり、人として・芸人としてのプライドがあり、伝えたいものがある。
王道の笑いで勝負するのか、それとも自分のスタイルを貫き通すのか、葛藤することもある。

花を咲かせることが出来るのは一握りかもしれません、花を咲かせられないまま消えてしまうこともあります。
そんな危うい世界で、ひたすらに夢を追う彼らの姿に感動すら覚えます。


■ 神谷さんという人

天才肌で純粋に自分のお笑いを追い求めている。
突飛な考え方で、普通ならあり得ない行動もしてしまう。

泣いている赤ん坊を川柳で宥めようとするほど、ズレていて、自分のお笑いに対して正直すぎる面も。

そんな神谷さんの考えに賛同する人もいれば、煙たがる人もいるのが現状で、それゆえなかなか売れないというのも現状。

しかし、そんな神谷さんのお笑いの哲学にはどこか惹かれるものがあります。


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