はるか
著者|宿野かほる
出版|新潮文庫
ジャンル|小説 問題作
オススメしたい人
≫ 変わった恋愛小説を読んでみたい人
≫ 衝撃的な展開を期待している人
目次
あらすじ
石の中に水が入っているんだ。
その石を手に持って振ると中から水の音がする。
その石はメノウというのだと聞いた。(P5)
その石は何十年も前に取り尽くされており、今では見つけるのがまず無理だという。
十歳の賢人が一人海岸でメノウを探していたときのこと、見慣れない少女と出会った。
少女の名前は“はるか”。
この時期だけ、この海岸の近くのペンションに来ているという。
賢人は“はるか”に淡い恋心を抱くが・・・
残念なことに“はるか”はお父さんの転勤でアメリカに行くことになった。
そして月日が経ち賢人は大人になっていた。
ある日、何気なく街に出た賢人。
鉱石の販売をしているという看板を目にし、その販売会場へと足を運んだ。
そこでメノウに興味ありそうな女性に、たまたま声をかけたのだが・・・
その女性はあの日以来、会うことがなかった“はるか”だった。
偶然の再開を果たし、そして半年後に結婚した。
・・・・・・
ここから場面は急展開
淡い男女の恋愛を描いていたかと思うと、話は別のところへと進む。
“人工知能・AI”の話へ!
仕事で賢人は人工知能の研究をしており、人と会話が出来るAI開発を夢としていた。
そして、ある出来事が原因で賢人は、一つの特殊なAIの開発を始める。
そのAIの名前は『HAL-CA』
それはあの日海岸で出会い、恋をした女性の名前。
賢人は“はるか”に関する情報、性格や、画像データなどを徹底的にコンピュータへと入力して行く。
その目的は・・・
AIで“はるか”を作るため!!!
果たしてAI『HAL-CA』の完成はなるのか?
そして、どのような結末が待ち受けているのか?
前作 「ルビンの壺が割れた」とはまた違った驚きが待ち受けています。
ここがオススメ
■ 意表の突き方
メノウから始まる幼い少年少女の淡い恋。
偶然の再会からの男女の恋愛、そんな内容の小説かと思っていたところからの、まさかの“AI”の話しに展開する。
ここで、一つ意表を突かれます!
そして、そこからの物語の展開は前作の「ルビンの壺が割れた」にも似た、徐々に毒が盛られるように進んでいく。
更に、そこには前作以上の狂気を纏っています。
その後に待つ結末は、ただただ唖然としてしまいます。
■ 最後の終わり方
人によって感じ方、評価は違うと思いますが、ある意味ではとても“綺麗な”終わり方だと思います。
本書の最後、衝撃の結末を迎えた後・・・
二つの選択肢があります。
どちらを選ぶのか想像してしまう。
それもまた読了後の本書の楽しみ方だと思います。
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