ウナノハテノガタ
著者|大森兄弟
出版|中公文庫
ジャンル|小説 螺旋プロジェクト
オススメしたい人
≫ 変わった時代の作品を読んでみたい
≫ 民族、部族、特殊な風習が好き
目次
あらすじ
ヤマノベは災いを退けるために生贄の儀式を行う。
今まさに、生贄の儀式が始まろうという時、突然大地が大きく揺れて地面が崩れる。
この隙に生贄に選ばれていたマダラコは、ヤマノベから逃亡する。
イソベリの海岸でオトガイは、毛むくじゃらの見たこともない生き物を保護する。
その生き物は闇夜の中をふらふらとした足取りで現れた。
そして、ウナ(海)へ行くとウナの水を飲み、激しく咳き込み動かなくなった。
その生き物は、目の色、肌の色、そして耳の形もイソベリの者と違い、更にその生き物は全身が毛で覆われていた。
しかし、その生き物はイソベリの者達と似たところもあり、教えればイソベリの言葉も話せるようになった。
その生き物とは、ヤマノベから逃れてきたマダラコだった。
二つの民族イソベリとヤマノベは、お互いの存在すら知らなかった。
しかし、マダラコがイソベリの集落に迷い込んだことがキッカケとなり交流が始まる。
友好的に見えていた関係であったが・・・
≪螺旋プロジェクト≫
8人の作家が「共通のルール」を決めて原始から未来までの歴史物語を書いた。
ルール1
「海族」VS.「山族」の対立を描く
ルール2
共通キャラクターを登場させる
ルール3
共通シーンや象徴モチーフを出す
ここがオススメ
■ 原始という時代
原始という時代の世界観が特殊すぎる!
この本では、イソベリとヤマノベという二つの民族が登場しますが、彼らの生活はその民族の中でしか成り立たない狭い世界の言葉や風習となっています。
言葉は現代のものと異なるため、一部の単語が独特な表現になっています。
言葉に慣れるまで、読むのが大変ですが、世界観を楽しむことができます。
二つの異なる言語もフォントを変えるなどで違いを見せる工夫もされています。
■ イソベリに代々伝わる仕来たり
海の民イソベリは死を知りません。
大きな怪我を負った者、動かなくなった者は、ハイタイステルベが島と呼ばれる場所へと連れていきます。
そこへ行けば、傷が癒えイソベリ魚になれるという。
しかし、この島には特に神秘的な力があるわけではありません。
動かなくなった者はそのまま朽ちていきます。
大きな怪我を負った者も・・・
これがこの島の正体。
しかし、死を知らないイソベリの者達には、ダンマリしなければならない。
■ 螺旋プロジェクト
イソベリとヤマノベの二つの異なる言葉を話すことができるある人物。
その人物の名前は?
『蒼色の大地』で榎木鈴が幼い頃に落ちた池の名前は?
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