微分・積分を知らずに経営を語るな

微分・積分を知らずに経営を語るな

著者|内山力
出版|PHP新書
ジャンル|ビジネス

本の概要

衝撃的なタイトルです。

「微(かす)かに分かる。分かった積もり」
と言われるほど、よくわからないのが微分積分です。

これを知らないと経営を語れないとはいったいど言う事か!?


■ 「明日を読む」方法

微分積分は数学では解析学と言います。
その名の通り、微分積分は様々な数字・データを解析して明日を予測する方法です。
万有引力で有名なニュートンやライプニッツといった天才が考えていた微分積分、それをいかにしてみんなに納得して使ってもらえるか。その集大成が現在使っている微分積分です。

彼らが考えた「明日を読む」方法は、「昨日までを小さく切って(微分)、それを未来へとつなげていく(積分)」というものです。

では具体的にどのようなことが経営で活かせるかというと、次の通りです。


■ 様々な経営数字に活かせる

微分積分の考え方がわかれば、様々な経営数字に活かせます。
大切なのは考え方です
微分積分の計算はあまりしません。
エクセルなどのツールがあれば、視覚的に捉えることができます。

・「微分」→「傾き」

とある商品を開発したとして、その商品の売り上げ推移をグラフにしてみましょう。縦軸は売上、横軸は時間です。
毎月一定の数だけ売れるのであれば話は別ですが、おそらく販売して広告を出したタイミングや商品の飽きが生じてきた場合売上の伸び具合が違うはずです。
このグラフの傾きが微分です。
傾きがものすごく急な右肩上がりの場合は、売り上げが急に伸びていると言うこと。
インフルエンサーのおかげでバズったのかもしれません。
逆に傾きがある時を境に、急に緩やかになった場合、右肩下がりになった場合。
原因は何かを突き止めてください。
協業他社が同じ商品を出品してきた可能性もあります。世間から飽きられたかもしれません、もしかしたらその商品に市場価値はないのかもしれません。早々に、次の商品を開発してください。

・「積分」→「面積」

同じく、とある商品を開発したとして、その商品の売り上げ推移をグラフにしてみましょう。縦軸は売上、横軸は時間です。
このグラフを積分すると、売上の累計が出ます。
積分すると言いましたが、グラフの曲線と横軸の間の隙間この面積が売上です。

商品の売上の推移には「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」があります。
一般的に「導入期」は傾きは緩やかになります。
「成長期」は傾きが急になっており、「成熟期」は一定の売り上げを保つようになります。この時の傾きはほぼありません。
「衰退期」は右肩下がりのグラフになります。
このそれぞれの商品の時期をグラフ上で区切っていきます。
4つのエリアができます。
この4つのエリアそれぞれの面積を見れば視覚的に売上の累計を知ることができます。
成熟期は時期が比較的長く、販促費をあまり必要としないため会社としては非常に美味しい時期です。
衰退期はすぐに撤退しなければいけないかというとそうではありません。
意外に衰退期の時期も長い場合があります。面積で見ると成熟期の次に大きいことが多いです。

このように特別な計算はしなくても微分積分の考え方がわかるだけで、経営に活かすことができます。

必読ポイント

僕が特に気に入ったものがあります。
「ロイヤルティマーケティングとビセキの関係」です。
簡単に言うとロイヤルカスタマー(その企業の得意客のこと)中心のマーケティングを行うこと。
この顧客の大切さを「貢献度」という数字で表します。一定期間内の売上や粗利などの数字です。

ABC分析

下記の手順でグラフを書きます。

① 縦軸を累積売上、横軸は貢献度(売上高)の高い順に顧客を並べていきます。

② 貢献度の一番高い顧客の売上をグラフ上に点を打ちます。

③ 貢献度の一番高い顧客の売上と二番目に貢献度が高い顧客の売上を合計をグラフに点を打ちます。

④ 貢献度の一番高い顧客の売上と二番目の顧客の売上、そして三番目に高い顧客の売上を合計してグラフに点を打ちます。

⑤ 二番目の顧客、三番目の顧客、四番目の顧客の売上の合計をグラフに点を打つといった④の作業を繰り返します。大変でしょうが、全部の顧客分行ってください。

⑥ 点を繋いでみましょう。

おそらく対数曲線のようなグラフになると思います。
この時、グラフの左側は傾きが急に上昇しているようになっています。
それがだんだん緩やかになっていきます。

大抵の場合左側の売上上位20位くらいまでの顧客が、この会社の優良顧客と言えます。
下位の方はほとんど売上に貢献していないと言えます。
これをどう捉えるかは経営者次第ですが、下位の顧客の売上を増やすようにするのか、上位の顧客に対してサービスを良くし、もっと買ってもらうか等、経営判断をする上で大変参考になるはずです。

文章だけの説明になりましたが、本書では図解入りでわかりやすく解説しています。経営者の皆様、数学が苦手と言わずに是非とも本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。


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