ブエノスアイレス午前零時(1998年 第119回 芥川賞受賞作)

ブエノスアイレス午前零時

著者|藤沢周 
出版|河出文庫
ジャンル|小説

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あらすじ

新潟の場末の温泉旅館。
季節は冬。

雪深い山麓の旅館に団体客を乗せた観光バスがやってきた。東京や関西から集まった社交ダンスの団体だった。
バスに乗る50を過ぎた男女の団体の中に、カザマはサングラスをかけた若い女性の顔を見かける。
が、宿泊客の中に若い女性の姿はない。

その女性は一体・・・

カザマが温泉の湯の色を確かめていると、ボイラー室の入り口の方に人影が見えた。
先ほど見かけた若い女性だ。

しかし・・・

若く見えたのは、バスの曇った窓ガラスと女性のかけていたサングラスのせいだった。
その女性は70くらいの華奢な老嬢だった。

名前はミツコといい、網膜症で目が不自由、更に軽度の認知症も患っているようで旅館の中を迷っていたのだ。


社交ダンスのパーティーが始まった。
その中で、ミツコは一人、会場の隅の椅子に座っていた。
カザマは気を使いミツコに声をかけると、一つお願いをされる。

そのお願いとは・・・

しかし、それがきっかけとなり、ミツコは周りに迷惑をかけてしまう。
ミツコは更に疎ましく思われてしまうのだった。

ここがオススメ

■ カザマの行動

カザマのミツコに対して心に思うことと、行動することに矛盾を感じます。
しかし、そこにカザマの何とも人間らしさを感じることが出来ます。

心ではミツコを耄碌(もうろく)した老人として疎ましく思いつつも、カザマの行動はミツコという人間をしっかりと受けとれています。

ダンスホールでのカザマの行動に注目です!


■ 屋上

『ブエノスアイレス午前零時』の他に『屋上』という短編の小説も収録されています。

『屋上』ということですが、
さて、どこの屋上でしょうか?

それは・・・

8階建てのデパートの屋上。
そこはゲームコーナーやポニーなどがいる子供が遊ぶために設けられた広場。

その8階の屋上という場所は、世間から隔離された非日常とも言える空間。
そこで一日働く男性の心境が綴られています。

一見楽しそうなイメージの空間ですが、彼はその空間で何を思うのか・・・


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