天使も怪物も眠る夜
著者|吉田篤弘
出版|中公文庫
ジャンル|小説 螺旋プロジェクト
オススメしたい人
≫ 変わった時代の作品を読んでみたい
≫ 他の螺旋プロジェクトの作品を読んだ人
目次
あらすじ
東京は慢性的な〈不眠の都〉となっていた。
24時間常に明るいという意味ではなくて、人々が皆、不眠症のように眠れなかった。
そのため、覚醒を助長するものは禁止され、面白い本を読むことすら御法度となっている。
黛(マユズミ)は三文小説家をしており、今は名の売れた作家となっている。
皮肉なことだが、マユズミの書く話はのんびりとした楽天的な内容で面白くない。
退屈で眠りを誘うとして人気が出たという。
ある日、マユズミの元に一冊の本が届いた。
奇妙な本で、著者はマユズミ本人となっていた。
しかし、マユズミはこの本を知らない。
書いた記憶もなければ、この本が出版されたのはマユズミが産まれた年だった。
更にこの本の最も奇妙なところは、本に書かれているいくつかのエピソードが現実とリンクしており、
過去に書かれた本であるにもかかわらず、実際に起きていることが未来予測されていた。
この本の正体とは・・・
東京は東西を巨大な壁で分けられており、その東西で2つの睡眠コンサルタント会社が競業していた。
西の睡眠コンサルタント会社・ドリーム8で働くシュウはある日、特別な課への移動を命ぜられる。
その課とは『バブルガム課』
課の名称はそこが何をする課なのか曖昧にするために、関係のない名称をつけることがある。
バブルガム課で行なっていることは、睡眠を促す商品開発ではなく
〈不眠の時代〉が終わったのちの〈眠りの時代〉に備えた“目覚め”の薬の開発。
先駆けて次の〈眠りの時代〉に備えるということらしいが、果たして・・・
ここがオススメ
■ 螺旋プロジェクト最後の時代
この話は螺旋プロジェクトの最後の時代が描かれているため、他の螺旋プロジェクトの話の中で残っていた伏線が回収されます。
物語全体を通して読みづらさを感じるつくりになっていますが、他の螺旋プロジェクトの作品を読んだ方には、ぜひともこの本は最後まで読んでもらいたいです!
■ あの有名な童話の未来版
話の構成が複雑に作られていますが、実は有名なある童話の話とリンクしています。
なので、この物語と童話とを比較しながら読み進めるのも楽しいです。
■ 登場人物紹介がオシャレ
この話は、複数の異なる人物がそれぞれの目線、立場から、ある事実を追いかけています。
そのため、話の流れに乗るまでは誰が誰か、誰が何をしているのか混乱してしまいそうになりますが、目次の次のページに登場人物の一覧が載っているので、迷子にならずに読むことが出来ます。
また、この登場人物紹介のページがオシャレなので、このページを見るのも楽しいです!
こちらから購入することができます。
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